TBMG - この人から学ぶ成功の秘訣! by タカラベルモント

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日本人の根底にある自給自足の精神に今こそ立ち返るべき

サステナブルな考え方は日本より海外のほうが先進的だと思われますか。

一概にそうとも言えないと思います。歴史を紐解いてみると、昔の日本は酒屋さんがビール瓶を回収してそれを再利用していましたよね。

もっと時代を遡ると、日本は鎖国をしていましたから基本的に自給自足をしなければならず、自然にサーキュラーエコノミーが実現できていたと考えられます。

ところが近代になって海外の文化が流入し、数字を追求する文化や大量消費をする文化が当たり前となり、よき日本の経済サイクルがくずれてしまいました。しかし、日本人の根底にはサーキュラーエコノミーを体現できる自力があると僕は思うんです。

理美容業をちゃんと成立させながらエネルギーを循環させていけるようなメイドインジャパンの技術やサービスが必ずあります。それを海外に輸出できれば、日本の理美容師さんの価値が上がり、海外でもっと活躍できると思います。


海外の理美容業界は、日本より格式が高い位置づけに

海外のサロンと日本のサロンとでは、どんな違いがありますか。

デザイン的な部分については、日本と海外とでそもそも需要が違うので、端的にどちらが上手いとかセンスがあるとか、そういう比べ方ができないのですが、サービスの質や細やかな気づきについては、日本のサロンは素晴らしいと感じています。

特にヘッドスパやフェイシャルエステなどのリラクゼーションに関しては、本当によく教育が行き届いているのではないでしょうか。

日本人の国民性的に奉仕の精神やおもてなしの精神がもともと備わっていることが影響しているのかもしれませんね。


日本のサロンは、たとえばカット料金だと1,000円〜10,000円超くらいの間で設定されているお店が多いと思いますが、ロンドンやニューヨークだと安いお店もありますが50,000円を超える金額のお店も数多くあり、ヘアドレッサーという職業がとても格式が高い職業として認識されています。

逆に理美容業界内での格差が大きいとも言えるのですが、全体として理美容業の社会的な地位が日本より高いイメージがあります。


日本においても、たとえば日本髪や老舗のバーバーなど古くからの文化に根付いている分野に関しては格式が高いとされていますが、エコノミックの世界では過当競争に陥りがちな印象です。

そこを打破していくことが今後の理美容業界の課題ではないでしょうか。


他業種との関わりを広げていくことが大事

日本のサロンの進化に必要なことはなんでしょうか。

海外のファッション業界で仕事をしていたとき、たとえば写真1枚撮るにしても、モデル、カメラマン、ヘア、メイク、ファッションスタイリスト、少なくともこの5つの業種の人がいないと1つのイメージをつくれませんから、ヘアはヘアだけというのではなく、必然的に横のつながりがありました。

また、『HONDA PREMIER HAIR』の大和本店は住宅街の中にあるので地域に根付き、地域の方たちと共にお店が成り立っており、横のつながりが非常に深いんです。これはとても大切なことだと思っています。


『HONDA AVEDA hair&spa』は大きな商業施設の中に入っているので『HONDA PREMIER HAIR』のような横のつながりを生み出すことは難しいのですが、サーキュラーエコノミーを軸に考えた結果、他業種の方と交流を持つことが大事だと思い、最近、理学療法士の方と協働し始めました。理学療法士の方たちは人に触れる仕事なので、心地よさを感じる触れ方を教えていただいたりしています。

反対に理美容師は人を華やかにさせる技術を持っているので、理学療法士の方たちをおしゃれにカッコよくさせることで接する方の気分を上げることができ、互いに相乗効果が生まれています。


我々、理美容師は、これまで理美容師だけで成り立ってきました。しかし、これからの時代は他業種との関わりをもっと広げていかないと前に進んでいけない気がしています。


互いの価値を高めながら、分解と統合を繰り返して進化する

理容と美容の違いについて、どうお考えですか。

もともと理容と美容の世界は違うと思うのですが、時代と共に融合し、壁を超えて1つになっていきました。『HONDA AVEDA hair&spa』においても理容師と美容師の両方が在籍し、サロン内が理容登録をしているエリアと美容登録をしているエリアに分かれています。

理容登録をしている個室にはメンズ用の椅子を設置して顔剃りができる他、VIPルームとしても使っています。


ここ数年でLGBTQの方への配慮が社会的にクローズアップされ、性差を超えた新しい概念が生まれてきました。男女で分けるというのではなく、ユナイテッドと言いますか、線引きのない世界観が広まりつつあります。

それが進化すればするほど、僕はこれまでの流れとは反対に理容と美容が再び分かれていくのではないかと考えています。理容だからできる価値、美容だからできる価値が1つの「個性」としてフィーチャーされ、そこにさらに理美容という新しいジャンルが生まれ、その3本柱で進んでいくのではないでしょうか。

そして時を経て再び融合の時代となり、さらに時を経て分かれていく、まさに細胞分裂のように分解と統合を繰り返しながら進化していくのだと思っています。


本田真一(ホンダ シンイチ)

1978年、神奈川県出身。中央理美容専門学校卒業後、1999年から12年間、パリ、ロンドン、ニューヨークを拠点に活動。2005〜08年はロンドンにてPeter Gray氏に師事し、有名メゾンのコレクションにディレクターとして参加。2011年に帰国し、神奈川県・辻堂にて『HONDA AVEDA hair&spa』をオープン。サロンワークと並行して国内外のヘアショーやセミナーなど多方面で活躍中。

HONDA AVEDA hair&spa

2011年、神奈川県・辻堂のテラスモール湘南にてオープン。30〜40代をメインに幅広い年代層のお客様が訪れ、髪へのダメージや環境に配慮した施術で高い評判を得ている。リラクゼーションにも力を入れており、ヒーリング効果の高いヘッドスパが人気。個室を2つ完備し、くつろぎの空間を提供している。

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