佐藤真由子さん・森腰菜々絵さん(Capullo.Co)

ライター 前田正明 | カメラ 好川桃子 | 配信日 2014.10.2

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雑誌に掲載されたSHIMAの作品をみて美容師に憧れた

私は幼稚園の頃から看護師さんになるのが夢でした。両親も看護師になることを応援してくれていて、私も家族も皆、将来は看護師になるものだと思っていました。ところが、高校2年生の時に女性誌のCUTiEに掲載されていたSHIMAさんの作品を見て衝撃を受け、その瞬間から美容師に憧れを抱くようになりました。 その話を両親にしたところ案の定猛反対。父は美容師という職業にいいイメージを持っていなかったようで、母は私が看護師になるのが夢だったんです。美容師になるんだったら学費は出さないと言われ、卒業後は働きながら資格を取るしかないと思い、美容学校は秋から通信過程で学ぶことにして、両親の反対を押し切って美容室に就職しました。 ところが、職場環境など現実とのギャップを感じて最初の美容室は3ヶ月で退職。自分は美容師には向いていないのかもしれないと思い、この先どうしようか悩みましたが、親の手前あきらめる訳にもいかず意地もあったので、3ヶ月後に別の美容室で再出発することにしました。 2つ目の美容室は70代の先生(女性)だったんですが、私をすごく必要としてくれたんです。こんな自分でも必要としてくれる人がいることがとても嬉しくて、やり甲斐を感じるようになり、本気で美容師になろうと決心しました。

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見るものすべてが刺激的だったAXISでの新人時代

先生はちょっとしたことでもすごく褒めてくれました。それが当時の私には人の役に立てていると実感でき、毎日先生やお客様のために頑張ることができました。ところが、その美容室はいわゆる街のパーマ屋さんといった感じで、ここでは私の憧れるスタイリストにはなれないと考え始めたんです。お客様も年配の常連さんばかりで先生を指名。 私を美容の世界に導いてくれたSHIMAさんのようなデザインも学べないと思いました。そこで、まずは美容師の免許を取得して、21歳の時に名古屋のサロンに勤めようと決心しました。それが栄にあるAXISです。後に分かったことですが、オーナーの野々山茂さんはSHIMAご出身の方で、何かご縁があると感じました。 AXISには約7年間勤めました。今までとは違ってお客様の層も若くて最初の頃は仕事が楽しくて仕方がなかったです。目にすることすべてが刺激的でした。新人当時の私は、将来的に独立をして自分のサロンを持ちたいという夢を持っていました。それ以外に、目の前のハードルを1つずつクリアすることと、カットの上手いスタイリストになることの2つを目標にしていました。

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言葉では言われない「心の指名」をいただこうと努力した

私は当初から、人として必要とされる美容師でありたいと努力をしていました。カットや技術は練習をすればマスターできますが、美容師はお客様はもちろん、スタッフたちとの人間関係も大事です。だからアシスタントについた時は、それぞれの先輩の仕事ぶりやクセを徹底的に把握して、仕事がスムーズにできる準備をしました。 「佐藤さんがいてくれて仕事がしやすいわ」から、さらに「佐藤さんがいないと仕事がきちんとできないわ」と言われるくらいの存在になりたいと思っていました。そんな、言葉では言われない「心の指名」をいただこうと、ノートにチェックしながら仕事に励んでいましたね。それはお客様に対しても同じで、「あの子にシャンプーをしてもらいたいな」と心の中で求めていただける美容師を目指していました。 AXISではトップスタイリストまで務めさせていただきました。

佐藤真由子さん(Capullo.Co)

自分はちっぽけな存在だと気づいたクイックサロン時代

私が美容師として自信がついたのはコンテストで入賞した時です。そのコンテストは作品だけでなく、自分の作ったものをプレゼンテーションまでする大会でした。審査員は美容業界の方ではなく一般のお客様です。まわりのスタッフからは「佐藤さんじゃまだ無理だよ」なんて言われたのですが、そのコンテストで準グランプリをいただきました。 それまで一度も褒めてくれなかった先輩がその時に初めて褒めてくれたことを覚えています。その後、AXISを退職して実家に戻り、知人の紹介でクイックサロンに半年ほど勤めました。それまで名古屋の繁華街のサロンに勤めていた自信があったので、私がカットをすると次回からは指名されると勘違いしていました。 ところがそんなことは1度もなく、むしろ私はAXISにいた佐藤真由子だからお客様が喜んで来てくれたのであって、本当はちっぽけな存在なんだと気づいたんです。そこで、もっと自分を落とし込んで0からスタートしてみようと思いアメリカに行こうと考えました。

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アメリカへ留学と修行を計画するも前途多難な船出に

まず、ニューヨークにある数々の日系サロンに無償でいいから雇ってほしいとのメールを送りましたがすべてだめでした。ところが運良く知人に日系サロンのオーナーさんを紹介していただき、留学先とホームステイ先も決まって費用をすべて支払った矢先に、渡米をお願いしていた会社が倒産してしまったんです。まさに「スッカラカン」で、「お先真っ暗」。 そんな途方に暮れていた時、知人に「あなたは一体何がしたいの?」と問われ、最初の決意通りアメリカに行くことを決めました。再び両親から反対されましたが、このチャンスを逃がすともう次はないと思っていましたから。今思えば会話もできないのによく行ったなと思います(笑)。少しは英会話を勉強しましたが焼け石に水で、まったくしゃべれなかったです。 いざニューヨークに渡り、念願のサロンワークをさせていただきましたが、サロンの日系人スタッフが怖くて怖くて・・・。しばらく落ち込んだりもしましたが、そこで原点に戻ってどんなに辛くてもニコニコしようと思い笑顔で仕事をしていました。すると「いつも笑ってるけど何が楽しいの?」と言われ、そこから打ち解けて仲良くしてもらいました。その時、笑顔は人を救うって思いましたよ(笑)。

佐藤真由子さん(Capullo.Co)

出店を計画するが経営者と技術者の両立に不安を抱く

ニューヨークで感じたのは、会話が片言でも問題はなく、むしろきちんと仕事をしてお客様が求めるスタイルに仕上げると必ず満足して喜んでくれるということ。その時に、ハサミが1つあればどこでも仕事ができることを実感し、厳しくレッスンをしてくれたAXISの先輩に感謝しました。 日本人はシャンプーも丁寧なので、チップもたくさんもらいました!ニューヨークではビザの関係で短期間しか勤められませんでしたが、お金を稼ぐことの大変さやお金の大切さ、何より美容師の持つ技術の素晴らしさを実感し、とてもいい勉強になりました。帰国後は当初の夢だった自分のサロンの開業を考えました。場所的にも今までお世話になった方に来ていただけるように桑名を選びました。 何より反対していた両親に対して頑張っている姿を見せたかったんです。ところが、私自身どれくらいの規模で開業できるか、また経営者と技術者を両立できるか不安でした。そんな時に、以前から知り合いの森腰に相談して応援してくれることになったんです。

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広告代理店勤務の友人と共同経営でサロンをオープン

佐藤/最初にオープンするお店は絶対に失敗してはいけないと思い、みなさんが集まってくれる立地条件を考えました。そこで、説明しやすくて誰もが知っている市役所の近くを選んだんです。 実は桑名で実績を上げて資金面と集客面を確保するために、帰国後に2年間だけ桑名のサロンにオープニングスタッフとして入社し店長を務めました。オーナーに2年後を目安に独立したいという意思を伝えたところ、全く問題無いと快く受け入れていただきました。そこでサロンの立ち上げから集客に関する苦労を経験しました。 そして森腰と開業のタイミングを相談しながら決め、共同経営という形でサロンをオープンしました。

森腰/私はリクルートに勤務した後に総合広告代理店に勤めていました。佐藤とは友人を介しての知り合いでした。最初は開業の相談だけだったんですが、私はリクルート時代から「トータルビューティサロン」を経営するのが夢だったので、徐々に彼女の考えに共感するようになり意気投合しました。美容師って素晴らしい職業だけど私にはできない。 ならば、マネージメントで協力できないかなと思ったんです。私は大阪に住んでいたので当初は往来しながら準備を進めました。サロンを共同経営するのは私自身の賭けでもありました。広告代理店では安定した収入がありましたから。でも、私は絶対に成功すると思っていました。理由は、佐藤の技術や人間力の高さはもちろんですが、ここは他にないコンセプトのサロンだからです。

Capullo.Co

リサーチをして情報誌による高い効果を利用した集客作戦

佐藤/最初は私の両親も森腰さんを巻き込むなって反対したんです。でも、2人で話していると、できない不安よりもやれる方法を導くといったポジティブな発想ばかり出てきて、それが私にとって心強かったですね。

森腰/私は大阪にいる時から桑名のリサーチをしていて、情報誌とホットペッパービューティによる集客が高いというデータをつかんでいました。だから、地元の情報誌とホットペッパービューティをフル活用。決して安売りするのではなく、佐藤の顔を露出させ、尚且つ売りたい軸となるメニューを少しだけ安い価格で出しました。顔が載ることで安心感が生まれますし、一押しのメニューをまずは体験してもらうことで良さを理解していただき、次回に繋げる作戦です。 また佐藤が獲得していたお客様の目処が立っていたので、オープン当初は大勢のお客様であふれると予想していました。結果的に12月の開業から翌年の3月まで予約でいっぱいでした。桑名という場所は名古屋のベッドタウンでもありいいお客様がいる場所なんです。そんな方をターゲットに、価格競争に巻き込まれない経営ができると感じていました。

佐藤/カプロは半個室で仕切りを作り、お客様が安心してくつろげる空間にしています。お客様同士が見えることなく、また、お店のバタバタとした忙しさもお客様には見えません。スペースを贅沢にレイアウトしており、一見効率が悪そうですが、この創りこそが高単価を生む仕掛けなんです。半個室だからこそ、まつ毛エクステやクイックネイルも周りを気にせずオーダーする事ができ、これらのメニューが単価アップに繋がっていきます。そしてお客様に満足していただければ必ず次に繋がるんですよ。 だからお店も大きな箱は作りません。パンクしても拡張移転ではなく同じ規模の小さなサロンをもう一つ目の前に出店しました。カプロは、お客様がくつろげる、癒されるためのあらゆる工夫を惜しみなく行っています。

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今後はママ世代に特化したママサロンの展開を考えたい

森腰/私は美容業界の人間ではないので、違った視点で捉えています。私自身がされて嫌だと思うことは排除して、自分たちがされて嬉しいことは可能な限り取り入れています。例えば感動するドリンクサービス。うちの店には気付けば約30種類もドリンクがあります。カフェでくつろいでいただくように、カプロでリラックスしていただきたいと思っています。会話も1つの特徴です。 カプロではお客様に非日常を感じてもらえるよう、職業や家族構成などプライベートな質問は一切しません。ずっと通ってくださっている仲の良いお客様でも、普段何をしているのか知らない方がたくさんいます。また、有難いことにお店は毎日忙しいですが、お客様を3分以上お待たせすることのないよう、私が徹底して時間管理を行っています。 その他にも、カプロならではの工夫がたくさんあります。興味のある方は是非一度お越しください(笑)。このように、「負の美容室あるある」を徹底して無くし、心地よさを追求したのがカプロなんです。桑名は実はサロンの激戦区ですが、売上げはオープンからずっと右肩上がりなんですよ。 お客様のためにしていることは、実はスタッフにとってもいいことなんです。それがいい仕事につながっています。まつ毛エクステやスパなど新しいメニュー展開もスタッフの強い希望でメニュー化し、みんな努力して頑張ってくれているので、売り上げがかなりアップしています。 カプロをオープンして1年後に支店のCapullo.Hanareをオープンしました。そしてついに、来年春~夏頃に、カプロの3階に念願のトータルビューティサロンをオープンすることが決まりました!スパ・アイラッシュ・リラクゼーション(ボディ)・ネイルなどのメニューを考えており、全身を美しくケアできるサロンになる予定です。 有難いことに、多くのお客様からたくさんのご要望をいただき、実現できることになりました!確かな技術を身に付けた専任のスタッフを置く予定ですが、そのスタッフたちのモチベーションアップや責任感を養う役目も担ってくれればと期待しています。更に、まだまだ構想段階ですが、ママ世代に特化したサロン展開なんかも面白いですね。 スタイリストもリタイアした同世代の方を採用するなどいろんな意味でのコンセプトサロンをつくってみたいです。最後にこの業界を担っていく若い人たちに対して、つらい練習を重ねたり手が荒れたりと大変な職業だと思いますが、私はこんなに素晴らしい仕事は他にないと思います。 2~3時間お客様と正面から向き合うなんて、究極の接客業ですよね。お客様が笑顔になって帰られるなんてすごいですよ。自分が本気で頑張れば必ず結果となって返ってくるので、夢を持って頑張ってください。途中で辞めるなんてもったいないですよ。国家資格なんてそう簡単に取得できませんから。

佐藤真由子さん・森腰菜々絵さん(Capullo.Co)
佐藤真由子さん・森腰菜々絵さん(Capullo.Co)

佐藤真由子(サトウマユコ)さん・森腰菜々絵(モリコシナナエ)

 佐藤真由子(右)

Capullo .Co主宰。三重県出身。旭美容学校(通信課程)卒業。地元のしず美容室に2年間勤務し、その後に名古屋・栄のAXISに入社。7年間勤めた後にNYのサロンで短期間のサロンワークを経験し帰国後に独立。2012年12月3日にCapullo .Coをプレオープンし12月9日にグランドオープン。 2013年10月9日に株式会社sette felicitaを設立し、同年12月9日にCapullo.Hanareをオープン。技術・空間作り・おもてなしなどで従来の美容室の常識を覆すサロン経営を目指している。


森腰菜々絵(左)

株式会社sette felicita代表取締役社長。株式会社リクルートホールディングスを経て総合広告代理店に勤務。退職後、Capullo .Coの設立に参加。現在、マーケティングプロデューサーとして同サロンの経営面に携わっている。

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