高嶋潤一さん(SESSION)

校則がきっかけでヘアスタイルに興味を持ち、大阪で美容師の道を歩み出した。専門学校時代を経て、都会的なサロンで刺激的な新人時代を過ごす。約10年間の勤務で店長になり、オーナーのひと言で独立。今では支店を擁し、3店舗目は新人たちが活躍できるジュニアサロンを、そして4店舗目は育児中のママさん美容師だけのオリジナルサロンを展開する。

ライター 前田 正明 | カメラ 好川 桃子 | 配信日 2016.12.8

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中学時代の校則がきっかけでヘアに興味を持ち美容師を目指す

美容師になったきっかけを教えていただけますか?

高嶋潤一さん(SESSION)

私が通っていた中学は、校則で男子は坊主頭だったんです。それがすごく嫌で、高校に進学してからはおしゃれに夢中になりました。特にヘアスタイルをイジるのが面白くて、友人の髪もよくセットしていました。お客様が女性で、好きな音楽を聴きながら仕事ができる、そんな環境への憧れもあり(笑)、美容師になろうと決めました。高校卒業後、地元は田舎だし三男坊だった私は実家を出ようと思い、経済的なことを考えて寮のある大阪の美容学校に入学しました。専門学校生時代は私の周りには後継ぎの子はあまりいなくて、私と同じように自ら美容師を目指していた生徒がほとんどでした。当時の国家試験では、ワインディングは15分間で巻くのが決まり。最初は何もできずに不安でしたが、練習を重ねていくうちにマスターできるようになりました。学生時代は本当によく遊びましたね。友だちと寮で楽しく過ごした時間は今でも思い出として心に残っています。

バブル時代に活気のある都会のサロンで刺激を受けた新人時代

新人時代に経験したことや努力したことは何ですか?

SESSION

当時はインターン制度があったので、学校の紹介で最初は奈良の美容室に入社しました。そのサロンは4店舗を経営する人気店でしたが、田舎出身の私は都会への憧れが強く、もっと都会的なサロンに勤めたいと思い、1年後に大阪・ミナミのサロンに入社しました。そのサロンでは約10年くらい勤めました。入社当時から先輩スタッフがたくさんいて、オーナーも大変厳しい方でした。地域柄、それまでいたサロンとは違って午後6時以降に大勢のお客様が来店されて、店内にすごく活気が溢れていたのでワクワクしながら仕事をしたのを覚えています。特に、コンテストに力を注いでいたサロンだったので、日々のサロンワーク以外に毎日のトレーニングもとてもハードでした。また、ちょうどバブル時代ということもあり、同期のスタッフたちとレッスン後に飲みに行くのが楽しみで、刺激的な新人時代を過ごしていました。そんな毎日を過ごしながら、徐々にコンテストに出ていい成績をおさめたいという気持ちが湧いてきました。先輩スタッフのほとんどは優勝や上位の成績をおさめるコンテスターばかりでしたから、私もヤル気になってきたんです。そんないいお手本が沢山いるサロンでした。

郊外店の店長を任されるもオーナーのひと言で独立を意識した

技術者になって考えていたことや将来の夢は何でしたか?

スタイリストに昇格してからの数年間は売上げが上がらずに、オーナーからかなりの叱咤激励を受けたこともありました。他のスタッフたちがいる前で「数字が上がらなかったらクビ!」なんて言われた経験もあります。自分の中で、スタイリストに昇格したことに安心し、慢心していたのかもしれません。ただ、自分が頑張らないと周りの人は手助けしてくれませんから、取り残されないように頑張りました。それから数年を経てなんば店で幹部を務めさせていただき、郊外に初めて出店した支店で店長を任されることになりました。ちょうどその頃、自分の中で環境を変えたいという気持ちになっていたので新鮮な気持ちで一から頑張れました。新店での店長というプレッシャーもありましたが、それよりも新店を任せていただいた事が嬉しくて、何としても成功させようと、張り切ってポスティングなどをしていたのを覚えています。同期の中には自分のサロンを持ちたいという夢を持っている人もいましたが、私はまだ独立に興味がありませんでした。ところが、業界的には30代になると独立する人が多く、先輩たちも徐々に独立していったんです。そんな時にオーナーから「高嶋は将来的にどう考えてるのか」と言われて、急に将来を意識するようになりました。徐々に漠然と出店を考えるようになり1年数か月後に独立しました。

高嶋潤一さん(SESSION)

独立当初は技術面や集客に自信を持つもスタッフの指導方法に困惑

  独立して出店に関する経緯やご苦労されたことは何ですか?

SESSION

出店に関しては、お世話になったオーナーや独立した先輩たちの商圏とかぶらない場所を探していました。なかなか見つからずに悩んでいたところ、オーナー自らが車で一緒に物件を探してくれて、支店の一駅違いのテナントを勧めてくれたんです。2人でタコ焼きを食べながら「ここがいいぞ!」って(笑)。オーナーはいろんな経験を持っていたので、感覚的にいい場所だと思ったんでしょうね。そこがSESSIONの1号店です。当初は、技術が上手ければお客様は来てくれるという感覚でいましたから、あまり不安はありませんでした。コンテストで優勝を目指して頑張っていたことが、サロンワークにも大いに生かされ自信に繋がったように思います。一番苦労したのはスタッフの教育でした。オープニング当初は私と妻とアシスタントが2人。私は厳しい指導で育ってきたので、その教育法でスタッフが育つと思っていたのですが、なかなか難しいですね。ただ厳しいだけでは若い人は育たないし、ついてきてくれないことを実感しました。

新人スタイリストたちの活躍の場としてジュニアサロンをオープン

 ジュニアサロンを出店した経緯を教えてください。

SESSIONのスタッフ

スタッフが定着してお客様がつき始め、サロンとしての体制が整ったのがオープンして4~5年後でした。それ以降は、育ってきたスタッフたちが活躍できる場所を新しく確保する意味で徐々に支店を展開しました。それぞれの支店にはコンセプトがあり、3店舗目はジュニアサロンとして出店しました。実は、ある年に採用した新人5人全員が一人も辞める事なく同じくらいの時期にスタイリストになったんです。しかし、彼女たちの居場所が無い。そこで、同じシステムで3店舗目を出すよりは、この子たちに任せてみようという考えでジュニアサロンをオープンしました。キャリアがない分、プライスは少し低価格に設定しましたが、私は彼女たちならやってくれると信じていました。毎日辛いレッスンをさせて、営業ではお客様を担当させるほどご新規がいない状況では、彼女たちのモチベーションは上がらないですよね。オープン後は低価格ということで集客面も幼児から年配の方まで幅広く来ていただき、スタッフたちにも責任感が生まれて順調に歩んでいます。

結婚・出産した女性スタッフのサロンとしてオープンしたSAZAE店

SAZAE店をオープンした経緯や女性美容師に対してどうお考えですか?

SESSION(施術風景)

4店舗目がママさん美容師をスタッフにしたSAZAE店です。私は女性美容師が結婚・出産をきっかけに退職することに非常に残念な気持ちを持っていました。多くのお客様から信頼を得て美容師としてこれからが楽しいのに、30歳を過ぎて退職するのはもったいないなと。調べてみたら、女性美容師の10年後の離職率が90%以上もあるんです。もちろん時間や物理的な問題もありますが、他のスタッフとの関係性やサロンでの居場所、体力的な問題など、環境による問題も大いにあると思っていました。もちろん、うちのサロンにも結婚・出産を経験しているスタッフがいますが、彼女たちのほとんどがまた戻ってきてくれたんです。従来のサロンで独身の若い美容師たちと一緒に仕事をしていましたが、家庭や育児の都合で忙しい時に帰宅されるとお互いに気を使いながらの仕事になります。ママさんスタッフたちの肩身が狭く、楽しそうに仕事をしていないんですよね。スタッフ間で気をつかいすぎると、お客様にも伝わりますし、お互いストレスばかりが溜まります。それを解決するために、ママさんスタッフだけのサロンをオープンしました。基本的にスタッフ全員がママなので、同じ条件の中みんな楽しそうに仕事をしてくれています。SAZAEに関しては彼女たちに全て任せているので、私も用事を済ませると数分で帰ります(笑)。

お客様の「帰って来るまで待ってるから」のありがたい言葉

SAZAE店のシステムやママさんスタッフについて教えていただけますか?

SAZAE店のママさんスタッフ

SAZAE店は、ママさんスタッフということで営業時間が午前9時半から午後5時まで。5時には完全閉店します。休日は毎週日曜日と第2火曜日です。メニューに関しても彼女たちの主婦目線でオーガニック系の商品やエイジングケアを取り揃えるなどスタッフの判断に任せています。さらに、床暖房やキッズルームを完備してベビーカーと車いすに対応したバリアフリーを採用しています。みんな若い頃からいたスタッフばかりで、それぞれに自覚を持って接客をしてくれているので店長は採用していません。実は、地元に住んでいる人は少なく、車で40~50分、中には電車で2時間かけて出勤しているスタッフもいます。なぜ地元のサロンではなく、うちに戻ってきてくれるのか私自身も不思議なんですが、お客様からの「また帰ってきてくれるまで待ってるから」というひと言が大きいようですね。気に入っていただけたらロイヤルカスタマーとして末長くお付き合いいただけるそんな土地柄で、彼女たちも気に入っているんだと思います。

長く美容師を続けられるように年齢に合った働き方を

若いスタッフとママさんスタッフのそれそれの対応はどうなさってますか?

高嶋潤一さんとスタッフ(SESSION)

この業界は、朝から夜まで仕事をして、さらに閉店後にレッスンをして帰宅が深夜ということが多々あります。若い頃はそれくらいの苦労をしてでも技術をしっかりマスターしなければいけないと思いますが、キャリアを積んで30歳を過ぎても同じような辛い境遇なら将来に明るい希望が持てませんよね。特に女性は体力的な問題もあります。私は若いスタッフに、「SAZAE店のスタッフは20代の頃に苦労をしたから今があるんだ」と言っています。逆にSAZAE店のスタッフには、「単に早く帰らせてもらえるとは思うな。短い時間でどうすれば生産性が上がるか、常に考えなさい。」と言っています。私自身も若い頃はレッスンに励んだし、その苦労は時代が変わっても必要です。しかし、将来のモデルケースとしてSAZAE店があれば、若い子たちも将来の自分をイメージしながら頑張れるのではないかと思うんです。実は、他の支店にいる独身スタッフでも、30代になったら自分の判断で午後7時以降には帰宅してもいいシステムにしています。プライベートを楽しむ時間も必要だし、20代とは体力も変わります。無理をしては長くは続きません。ただし、若手のお手本となる行動ができないのであれば、このシステムはすぐにやめるつもりです。決して甘やかしたり厳しすぎるのではなく、いかにみんなが充実して仕事をできるか、そんな環境作りに重点を置いています。

年配になっても資格を持っていて良かったと思えるのが美容業

今後の展開や業界の未来を担う若い人たちへのエールをお願いします。

高嶋潤一さん(SESSION)

SESSIONはお客様はもちろん、スタッフの幸せも築いていけるサロンを目指しています。生涯顧客になってもらえるサロン、そして社員も生涯関われるサロンでありたいです。オープンして1年半を経過したSAZAE店も女性美容師が年齢を重ねても活躍できる場として長く継続させたいと思っています。今後は、ご年配のお客様に配慮して現在2階にある本店を1階のフロアに移転したいと考えています。さらに、男性を含めて35歳以上のベテランスタッフによるサロン展開も計画しています。これも、年齢的な配慮をしてスタッフが長く勤められるシステムを考えています。これによって、若い人も10年先のビジョンを描けると思います。最後に、この業界を担っていく若い人に対して、国家資格としての美容師は常に必要とされる職業なので頑張って活躍してほしいと思います。最初の4~5年は苦労が必要ですが、その先には必ずやり甲斐を感じるでしょうし、年配になっても資格を持っていて良かったと思える日が必ず来ると思います。うちのスタッフの中には7年のブランクを持つスタイリストがいますが、技術をしっかりと身につけていたお陰で今でも活躍しています。若い人たちもしっかりと技術を身につけて、お客様を笑顔にしてあげてください。

高嶋潤一さん(SESSION)

高嶋潤一(タカシマジュンイチ)

SESSION 代表取締役。福井県出身。NRB日本理容美容専門学校卒業。大阪・難波のサロンで10年間勤務。1997年に独立し、大阪府松原市にSESSIONをオープン。2004年にパーゴ!店、2010年にエプリ店、2015年にサザエ店をオープン。「生涯、美容師を続けられる会社を目指す」をモットーに、生涯顧客・生涯美容師をビジョンに掲げながらJr.サロンやパートサロンを含めて自転車で5分圏内に4店舗を展開。オープン当初から地域密着型のサロンを展開し、年1回の秋祭りや月1回のお客様参加型教室を開催。営業前には近隣の清掃活動などを積極的に行い地域社会に貢献している。

SESSION

SESSION

生涯顧客、生涯美容師をビジョンに、ジュニアサロン・ママさんサロンを含め、自転車で5分圏内に4店舗を展開中。生涯美容師を続けられる会社を目指す。


https://www.session358.com/

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